2016年4月10日放送の「新報道2001」の中で、「勉強したのに話せない、なぜ伸びない?日本人の英語」と題して日本人が英語を話せない理由について取り上げられていましたので、その概要についてご紹介します。
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現状の中高生の英語力が政府の目標(50%以上)に及ばず
文部科学省が実施した調査によると
中学3年生 政府目標:英検3級程度
→ 合格率 36,6%
高校3年生 政府目標:英検準2級程度
→ 合格率 34,3%
と政府の目標50%以上に達していない。
定年後に英語の勉強を始めた男性64歳も日本の抱える問題点を指摘。
中学高校大学と英語の勉強を結構やりましたけど全然話せません!これが問題ですよ。
会話が出来ない日本の英語教育の障壁となっているものは何か?
3,000冊を超える英語教材を収集分析する和歌山大学の教授は、江戸時代は英会話レベルは高かったと語る。
江戸幕府の公的な外国語研究機関である開成所というところが作った英語の文法の教科書「ENGLISH GRAMMAR FIFTH EDITION AT YEDO 1866」を示し1866年幕末の今の教科書にはない特徴があったと言う。
ここに英会話上達のヒントがあるのか!?
江戸時代の英語教育のほうが進んでいた? これが江戸時代の教科書だ!
江戸時代の英語の教科書を見ると日本語はなく全て英語。
Q and A 方式で英語の文法を英語で解説しているのだ。
以下はその一部。
PRONOUN
Q. What is a Pronoun ?
A. Pronoun is a word used in place of a noun, and is so called from the Latin pro, for, and nomen, name or noun, asーyou are good.
Here I use the word you instead of the name of the person addressed.
Q. Give me some examples.
A. The words he and his are pronouns inーRobert went to his garden, and there he saw his flowers and are used instead of sayingーRobert went to Robert's garden, and there Robert saw Robert's flowers.
明治時代に入ると教科書に絵も登場した(着物姿の女性が幼い兄弟に声をかけている絵)。
会話を重視した中身になっている。
以下はその一部(小學英語讀本 巻三)。
Where are you going ?
I am going to school.
Where is your sister going ?
Is she also going to school ?
No, she is going to the station.
What are you doing ?
・・・・・・
外国人に通じる英会話の革命を起こした教材があった
それは、「ジョン万次郎」が書いた日本初の英会話書。
ジョン万次郎は14才の時に漁に出て遭難、アメリカ人に助けられ渡米、生きた英語を学び、帰国後に通訳や教師として活躍した。
この会話書の特徴は、
万次郎が自分の耳で聞いた音で発音をカタカナ表記していることだ!
例えば、
five 5 → フハイ
six 6 → セキシ
How do you do today ? → ハオ ヅー ユー ヅー ツデイ
戦後カタカナ英語は通じないと教えられてきたが・・・?
しかし今、このジョン万次郎流のカタカナを使った発音が実践的だと注目を浴びている。
150年前の教育が更に研究され、この春から一部の大学で用いられるという。
ジョン万次郎が記したカタカナ英語は本当に外国人に通じるのか?
60年も英語とは無縁だという75歳女性の場合
以下の文章をアメリカ人に話しかけてもらった。
What weather is it today ?
始めは女性流の英語で聞いてもらうと → 外国人は、Whatしか分からなかった。
次にジョン万次郎流の英語で試してみると、
ハッタワザイジイータツデイ → 今度は一発で通じてしまった!
英語を習ったのは半世紀も前という68歳女性
今度は単語に挑戦してもらった。
water
女性流の発音で言ってもらっても全く分かってもらえない。
次は万次郎流、
ワラ → 今後は即座に分かってもらえた。
但し、「red→ウレ」は通じなかった。
最後に少し長文を万次郎流で試してみると、
In 2020, the Olympics will be held here in Tokyo.
So for tourists, what do you think Japan needs to change ?
これも一発で通じ、外国人は即座にその問いに対する返答をしてくれた。
長文でさえもジョン万次郎流英語が通じてしまったのだ!
英語は決して受験の道具ではない!
このジョン万次郎の英語はなぜ失われたのか?
英会話上達のヒントが人力車の車夫にあった!
彼は帰国子女でもなければ英会話を何年も習ったわけではない。
彼曰く、
ガイドに必要な英語を片っ端から暗記していった。
例えば東京スカイツリーだったら、
It's about six hundred and thirty-six meters high.
学校で勉強する英語とコミュニケーションをとる英語が全然別ものだったんですよね。
日本の英語教育は無駄だったのか?
日本人が英語を話せない理由を人気講師がズバリ断言!
安河内哲也氏
英語教育改革の有識者メンバーの一人でもある東進ハイスクールの英語講師 安河内哲也氏はこう断言する。
「日本人が英語を話せない最大の理由は現在の大学受験の仕組み」だと思う。
海外での英語の試験は聞く・読む・話す・書くの四つの技能で試される。
一方、日本のセンター試験の問題を見ると、読解力の問題がおよそ8割を占める。
スピーキングとライティングに関してはセンター試験では全く出ないわけだから試験に出ないことは省いてしまう。
それが一番大きな問題点だと思う。
その現状にメスを入れるべくスピーキングテストを大学入試に取り込む大改革が行われるとのこと。
日本の英語教育は本当に変われるのか?
日本人の英語はどこがダメ?
パトリック・ハーラン氏 タレント
150年前の英語の教科書を見て(単語の記述)、今の日本人が覚えている英語よりもこちらのほうが正しいとのこと。
高村正彦氏 自民党副総裁
明治41年の数学の教科書は英語で書かれているが、東南アジアでは普通のこと。
大学で自国語で教えることが出来るのは日本だけ。
それは、江戸時代に日本語が非常に成熟していたから何でも訳せた。
明治の初めはそこまでいっておらずそのままやったのではないか。
大学教育を日本語で全て出来るということが、日本の素晴らしいところでもあるし日本人が英語が下手なところでもある。
江田憲司 民進党代表代行
明治4年の英語の教科書はどうですか? の問に、
僕は30歳過ぎてから留学したがダメですね。
小学校時代からリスニングから入るのが大事だと思う。
日本は受験英語で文法、つまり目から入る。
What do you say ? を「ワッダヤセイ」と言われても日本人は分からない。
とにかく若いうちから英語に親しむことが大事。
ライフネット生命保険会長兼CEO
僕も40歳超えてからロンドンへ行ったので英語は全然ダメだが日本は漢字を使うので概念が全部訳せる。
例えば republic は「協和」など。
ある意味では漢字を使っていたことで外国のいろんなコンセプション(概念)を日本語に出来たのですごく幸せであると同時に全部日本語で出来るから英語が下手になるということがあるのかも知れない。
高村氏
耳が慣れるという事とその次は口が慣れるという事ですよね。
センター試験の前の共通一次と言っていた頃に「ディクテーション」くらいもっと入れろよと言ったが、私が言ってから実際に入れるまで10年くらいかかった。
いろいろと理由をつけてなかなか入れなかった
小森さん
若い頃の英語の教科書は、
This is a pen. He is a boy.
そういう使わないような言葉だった。
大学は出たが英語は全く出来なかった。
しかし、新聞社だったから大学卒業後1年くらい留学して必死で勉強した。
プロフェッショナルな英語に達するためには私の場合は読んで、目から覚えていった。
知らない単語、知らない熟語はいくら聞いても分からないのだから。
読みながら、且つそれを使っていくというやり方が効率が良かった。
平井氏 フジテレビ上席解説委員
ワシントン特派員になりたかったので、すごく一生懸命勉強したがこの程度しかない。
目的があってもやっとこの程度という事は、もし目的がない人がいたら、その人たちが英語を勉強する意味があるのか?
目標としている英検3級や準2級などは本当に必要なのか?
必要な人だけが受ければ良いのではないか?
高村氏
世界共通語だから、やっておくことはそれなりの意味があるのではないか?
今回の番組では、「日本人が英語を話せない最大の理由?」という課題に対する結論としてのまとめ的なものは無かったが、その理由の一つとして「現在の大学受験の仕組み」があるのは間違いなさそうだ!
英語は決して受験の道具であってはならない! と私自身も強く思う!