外国語を6ヵ月間で習得する方法!

日本人が最も苦手としている外国語の習得方法に関しては、実に様々な学習方法がネット上や書籍の中で紹介されています。

 

Chris Lonsdale 公演

 

今回は、自らも中国語を約6か月でマスターしたという心理学者、言語学者、教育者であり起業家でもあるクリスロンズデール(ニュージーランド生まれ)が、その個人的な経験と心理学を基に、TEDxLingnanUniversityにて公演したテーマ「外国語を6ヵ月間で習得する方法!」の中から外国語学習者にとって重要な部分をピックアップしてご紹介します。

 

なお公演の内容について、理解しやすくするために意訳している個所もありますので、ご了承下さい。

 

外国語を習得するには才能も現地留学も必要ない

皆さんの中にも外国語を習得するには少なからずその為の才能が必要だと考えている人もいるのではないでしょうか?

 

その疑問に対してロンズデールは、ゾーイという女性を例に挙げて以下のように解説しています。

 

オーストラリア出身のゾーイはオランダに渡り、オランダ語を覚えようとしていました。

 

しかし、人々からは「全く役に立たない」「才能がない」「あきらめなさい」「時間の無駄使いだ」と言われ、ものすごく落ち込んだそうです。

 

そんな時ゾーイは、ある5つの原則に出会ってからブラジルに移住し、この原則を適用して約半年でポルトガル語が堪能になったそうです。

 

つまり、外国語の習得に特別な才能は関係ないという事です。

 

また、外国語を習得するにはその言葉が話されている現地へ留学するのが一番良いと考えている方も多いでしょう。

 

その疑問に対しても、ロンズデールは以下のように解説しています。

 

いろんな国を見てみると、例えば香港に10年間住んでいるヨーロッパ人でも中国語を全く話せない人がいます。

 

また、アメリカやイギリスに10年以上住んでいても、ほとんど英語を話せない中国人もたくさんいます。

 

それはなぜか?

 

そこに住んでいる周りの人間が自分に理解出来ない言語で話している・・・という状況のところに放り込まれただけではその地域の言語を習得する事は出来ないという事です。

 

そこで外国語を習得するためには、次に説明する5つの原則と7つのアクションが必要であるという訳です。

 

5つの原則

それではまずこれら5つの原則について、一つ一つ紹介していきたいと思います。

 

原則1.習得したい外国語の内容に集中する

4つの要素「Meaning 意味」「Relevance 関連性」「Attention 注意」「Memory 記憶」には相互に関連性があります。

 

これらは学習する際には特に重要となります。

 

例えば、今あなたが森の中を散歩しているとしましょう。

 

散歩の途中でクマの足跡のようなものを見つけた場合、中には気にしない人もいるかもしれませんが、この近くにクマがいる可能性があるということですよね?

 

この事はひょっとすると自分の命に係わる事かも知れないので、人はクマの足跡を見つけた場合、注意を払い、そのことは記憶にも残るという事です。

 

つまり、自分に関わる外国語を習得したいという目標があれば、当然そのことに注意を払いますし、記憶にも残るという事です。

 

原則2.習得したい外国語を最初からコミュニケーションツールとして使う

中国語のキーボード

 

ここでは中国語のキーボードを例に挙げて解説しています。

 

何年も前の話ですが、同僚の女性が夜間学校に9ヵ月も通っていましたが、それでもまだ中国語のキーボードで中国語を入力する事が出来ませんでした。

 

ある時、彼女の会社で48時間以内に中国語の研修マニュアルを作成し納品する仕事を受注し、その担当に彼女が指名されました。

 

この時、彼女は48時間で中国語を入力できるようになったのです。

 

それは、その仕事が彼女に関係があり、有意義で大事な事であり、その達成のためにツール(中国語のキーボード)を使ったからです。

 

つまり、最初からその必要性を強く認識し中国語のキーボードを使っていたら、もっと早く使えるようになっていたという事です。

 

外国語の習得も同じことで、覚えたての単語やセンテンスでも子供と同じように最初からコミュニケーションのツールとして使っていれば、短期間で取得する事が出来るという事なのです。

 

原則3.最初にメッセージを理解したら、無意識のうちに外国語を習得出来る

中国の汽車

 

ロンズデールが初めて中国についた時は、彼は中国語を一言も話せなかったそうです。

 

彼は中国について2週目に夜行列車に乗ることになり、その列車の中で彼に興味を持った中国人の車掌と8時間話をして過ごしました。

 

もちろん中国語は話せなかったので、車掌は絵を書いたり身振り手振りで話していましたが、彼はだんだんと少しずつ分かるようになってきたのです。

 

それからまた2週間後の事です。

 

彼の周りで人々が中国語で話していると、その内容がほんの一部ですが分かるようになったのです。

 

中国語を習得するための努力を何もしていなかったにもかかわらずです。

 

それはなぜか?

 

彼は、列車の中で長時間車掌と話した事で無意識のうちに中国語を吸収していたのです。

 

この無意識のうちに外国語を習得するという事に関しては20年~30年分の研究の実績があるそうで、文法中心の授業によって学んだ人よりも理解可能なインプットで学んだ人の方が外国語の習得に関して効果があるのだそうです。

 

原則4.外国語の学習は生理的なトレーニング

顔の筋肉

 

彼の知り合いで台湾出身の女性は、学校での英語が得意で大学までずっと優の成績でしたが、ある時アメリカへ行った時に人々の話す英語がほとんど理解出来なかったそうです。

 

それで、「あなたは耳が不自由なのか」と聞かれるほどだったそうです。

 

人間の脳の中にはフィルターがあり、聞きなれた音は聞き取れる(フィルターを通過する)が、聞き慣れない音はフィルターを通過できないため聞き取れないそうです。

 

当然の事ですが、聞き取れないものを理解する事は出来ません。

 

ですので、理解するためには音を聞き取れるようにならなければなりません。

 

その方法は生理的なトレーニングを行うことで、私たちの顔にある43の筋肉を使って、他の人が理解できるような音を出すためにこれらの筋肉を動かせるようにする必要があるわけです。

 

よく「自分で発音できないものは聞き取れない」と言われるのは、このあたりから来ているのかもしれませんね?

 

原則5.あいまいさに寛容であること

人は悲しい時、怒っている時、心配な時、気が動転している時には学習する事は出来ません。

 

その反対に、脳にアルファ波が出ている状態で、好奇心を持っている時には素早く学習する事が可能です。

 

外国語習得の場合で具体的に言うと、聞こえてきた単語が100%理解出来なければ満足できないような人の場合、もし完璧の聞き取れないとフラストレーションがたまり学習するのが難しくなります。

 

逆に、全てが聞こえようが聞こえまいが、理解出来る内容に注意が払える人であれば、リラックスして速く学ぶことが出来るでしょう。

 

7つのアクション

次に、前記の5つの原則に基づき、言語習得に必要な7つのアクションについて一つずつ見ていきましょう。

 

アクション1.とにかくたくさん学習する外国語を聞くこと

ロンズデールは、このことを「脳を浸す」と表現しています。

 

これは、あなたが習得したい外国語を大量に聞くことが出来る環境の中に置けという意味で、その際、聞こえてくる外国語を理解出来なくてもかまわないという事です。

 

その時あなたは、その外国語のリズムや繰り返される言葉、目立っている言葉を聞き続けるのです。

 

すなわちあなたの脳が聞こえてくる外国語に浸っている状態です。

 

アクション2.単語を覚える前にその意味を習得する

ボディランゲージ

 

単語さえ知らないのにどうやって先に意味を習得出来るのか?

 

人間のコミュニケーションはその多くがボディランゲージで成り立っています。

 

その為、単語を知らなくてもボディランゲージによってその意味が分かるのです。

 

また、すでに知っている言葉を利用することも出来ます。

 

もしあなたが北京語と広東語を話せる場合、ベトナムに行くと日常会話の60%が聞き取れます。

 

なぜなら、ベトナム語は約30%が北京語、約30%が広東語だからです。

 

アクション3.知っている単語をミックスする

もし動詞10個と名詞10個と形容詞10個を覚えれば、1,000通りのことが話せるのです。

 

言葉は「創造的なプロセス」です。

 

赤ちゃんの場合はどうでしょう?

 

赤ちゃんは、「ボク」「オフロ」「イマ」などと言ってコミュニケーションをとっています。

 

まずは単語をミックスし、いろんなフレーズやセンテンスを創造して楽しんでみましょう。

 

完璧でなくても伝われば良いのです。

 

アクション4.核心部に集中する

言葉の使用頻度

 

これはどういう意味か?

 

全ての外国語には、使用頻度が高いワードがあります。

 

例えば英語であれば、核となる1,000語で日常コミュニケーションで使う言葉の約85%がカバー出来るそうです。

 

3,000語では、日常会話の中で言いたいことの98%を表すことが出来るそうです。

 

つまり3,000語の単語を知っていれば、「その外国語を話すことが出来る」と言えるでしょう。

 

それ以外の単語は、付けたしのようなものです。

 

そこで新しい外国語を学び始める際は、まずは以下のようなワードを覚えることから始めましょう。

 

1週目

次のようなフレーズを覚えて使いましょう。

 

How do you say that ? どのように言いますか?

 

I don’t understand. 分かりません。

 

Repeat that please. もう一度言って頂けますか?

 

What does that mean ? それはどういう意味ですか?

 

これらのフレーズをツールとして使い、習得したい外国語に関する事を学ぶために使いましょう。

 

2週目

me、this、you、that、give、hotなどの単純な代名詞、名詞、動詞、形容詞などを使えるようにし、赤ちゃんのようにコミュニケーションを取りましょう。

 

3週目、4週目

Although、but、therefore などの接続詞を学びましょう。

 

これらのワードを使う事で言葉どうしを繋ぎ、より複雑な意味を表現できるようになっていきます。

 

この時点で、あなたは既に会話をしているのです。

 

アクション5.言葉の親を得る

言葉の親

 

幼児と親がどうやって交流しているかを見ていると、この意味が理解出来るでしょう。

 

子供が話している時は、単純な単語や言葉の組合せで話しています。

 

時には変な言葉や発音で話すため、家族以外の人には理解出来ない場合もあるでしょう。

 

でも親は分かるのです。

 

よって、子供は安心できる環境を持ち、自信を得ていけるのです。

 

次に親が子供に話しかける場合は、ボディランゲージを使って子供が理解出来ると知っている単純なワードを使って話します。

 

私たちは赤ちゃんの頃から、上記のように安全で理解可能なインプットの環境を持っています。

 

そうでなければ、母国語を話す人は誰もいないでしょう。

 

なので、あなたに興味を持ち、対等な立場でコミュニケーションを取り、あなたが言葉を理解出来るよう注意を払ってくれるようなあなた自身の「言葉の親」を見つけましょう。

 

「言葉の親」には以下の4つのルールがあります。

 

ルール1.突拍子もない事を言っても理解しようと努力する

 

ルール2.間違いを直さない

 

ルール3.適切な返答が出来るように言った事に対し再確認してくれる

 

ルール4.あなたが知っている単語を使ってくれる

 

なお、配偶者は「言葉の親」としては適切ではないと考えられます。

 

アクション6.話すときの表情(顔の筋肉)を真似る

顔の筋肉

 

話すときに顔の筋肉を正しく動かせれば、人々が理解出来る音を作り出すことが出来ます。

 

それには、二つの事を行います。

 

一つは、どのように感じるかを聞き、どのように聞こえるかを感じる事です。

 

これは、あなたの顔でフィードバックループを行うという意味で、理想的にはもしネイティブスピーカーを観察できれば彼らの顔の筋肉の使い方を観察し、潜在意識の中へ吸収させるのです。

 

そうすれば、話すときの顔の筋肉の使い方を習得する事ができるでしょう。

 

もしもネイティブスピーカーを観察する事が出来ない場合は、ネイティブスピーカーの顔の筋肉の使い方が分かる動画などを利用しましょう。

 

アクション7.新しい音と記憶を直結する

同じ箱、異なる道

 

これはどういう意味か?

 

第二外国語を学んでいるほとんどの人は、母国語を使って習得したい外国語のワードを心の中で繰り返し練習し記憶しようとします。

 

このやり方は効率的ではありません。

 

あなたがまずやらなければならない事は、あなたが知っている全てのワードはイメージとしてすでに心の中にあるという事を理解する事です。

 

例えば「火」について考えてみると、煙の臭いやパチパチなる音、炎などを感じることが出来るでしょう。

 

その時入ってきたイメージとそれに関する全ての記憶は、別の経路で出ていきます。

 

私はそれを「同じ箱、異なる道」と呼んでいます。

 

しばらくすると、新しい音を既に持っているイメージと繋ぐことが出来るようになっていきます。

 

具体的に言えば、「fire」という音が既に記憶の中にある「煙の臭い」「パチパチなる音」「炎」などと直結するという事です。

 

つまり、「fire」=「火」と覚えるのではなく、「fire」=「煙の臭い、パチパチなる音、炎の記憶」として覚えることが出来るという訳です。

 

そして、時間の経過とともにそのプロセスが自然に無意識のうちに出来るようになるのです。

 

これらの5つの原則と7つのアクションを実行することで、あなたの外国語習得を改善させることが出来るでしょう。

 

これらの事は、あなたがた学習者がやれることばかりです。

 

これらの事を全て実行すれば、6か月で第二外国語が堪能になれるでしょう。

 

5つの原則、7つのアクションについてのまとめ

外国語の習得法については、書籍やネット上などでありとあらゆる方法が紹介されています。

 

今回ご紹介した「外国語を6ヵ月間で習得する方法!」についてもそのうちの一つに過ぎないのかもしれませんが、いろいろなところに共感できるものを感じることが出来ました。

 

外国語を習得するにあたっては、その人その人で外国語を習得する目的、習得レベル、習得までの期間などは大きな違いがあると思いますが、海外旅行時や日本に観光で来ている外国人が困っているのを見かけた時などの為に、最低限必要な英会話くらいは早めに習得しておきたいものです。

 

最後にこの記事で説明した5つの原則と7つのアクションを以下に列記しておきます。

 

原則1.習得したい外国語の内容に集中する

 

原則2.習得したい外国語を最初からコミュニケーションツールとして使う

 

原則3.最初にメッセージを理解したら、無意識のうちに外国語を習得出来る

 

原則4.外国語の学習は生理的なトレーニング

 

原則5.あいまいさに寛容であること

 

アクション1.とにかくたくさん学習する外国語を聞くこと

 

アクション2.単語を覚える前にその意味を習得する

 

アクション3.知っている単語をミックスする

 

アクション4.核心部に集中する

 

アクション5.言葉の親を得る

 

アクション6.話すときの表情(顔の筋肉)を真似る

 

アクション7.新しい音と記憶を直結する

 

以下の動画は今回参考にしたChris Lonsdale氏の講演です。

 

リスニングの訓練にもなりますので、ぜひご覧ください。