
みなさんは「タンバイ(tambay)」という言葉をご存知でしょうか?
フィリピンの都市を歩いていると、「日陰で涼んだり」、「カードゲームを楽しんだり」、「ただ世間話をしたり」している人たちのグループを見かけることがあります。
彼らは「タンバイ」と呼ばれる人々です。「タンバイ」には、フィリピン国内の複雑な社会的背景と、彼らを取り巻く様々な問題が存在します。
そこで今回はフィリピン社会の闇とも言われる「タンバイ」についてご紹介致します。
「タンバイ」とは?
「タンバイ」とは、「仕事を持たず」或いは「特定の目的もなく」街角や広場などに集まり時間を過ごす人々を指す俗語です。
この言葉は、英語の「スタンバイ(stand by)」に由来し、「待機する」という意味に相当します。
フィリピンでは、この「タンバイ」は男性に多く、友人や知人と雑談をしたり、喫煙したり、アルコールを飲んだりして一日をダラダラと過ごしてます。
フィリピンにはどのぐらいタンバイがいる?
フィリピンには正確なタンバイの数を示す公式な統計は存在しませんが、おおよそ3,000万人近い数の人がいると示唆されています。
首都マニラをはじめとする大都市圏では、特に貧困層が多い地域でタンバイの存在が顕著です。
フィリピンの貧困率は約20%と依然として高く、経済的な困難が若者や成人男性をタンバイの生活に追いやる一因となっています。
フィリピン政府や自治体は、失業対策や社会福祉プログラムを通じてタンバイの数を減少させる取り組みを行っていますが、その効果は限定的です。
※2018年には前フィリピン大統領のロドリゴ・ドゥテルテによって「オプラン・タンベイ」が行われ、公共の場での喫煙、路上での飲酒、公共の場での上半身裸などの市条例に違反した徘徊者(タンバイ)に罰則が科せられました。
このキャンペーンにより、2週間で少なくとも8,000人の住民が規則違反で呼び止められたり逮捕されたりしました。
タンバイとフィリピン社会について
経済的な影響
タンバイの存在は、フィリピン経済に大きな影響を及ぼしています。
彼らの多くは生産的な労働に従事せず、経済活動に貢献していないため、国家の経済成長にとって一種の障害となっています。
また、タンバイが街角に集まることで治安の悪化や社会問題の温床となることも少なくありません。
特に若者がタンバイとして時間を過ごすことは、教育機会の喪失や将来的な職業能力の欠如につながる可能性が高いです。
社会的な影響
フィリピン社会において、タンバイはネガティブなイメージで見られがちです。
彼らは「怠け者」と見なされることが多く、犯罪に関与しているという偏見も根強いです。
しかし、実際には多くのタンバイが貧困や社会的な排除の犠牲者であり、適切な支援を受けることで再び社会に貢献することができる可能性があります。
フィリピン政府は、雇用創出や職業訓練プログラムの提供を通じて彼らの社会復帰を支援しています。
また、地域コミュニティや非政府組織(NGO)も、タンバイの生活改善に向けた様々な活動を展開しています。
教育やスキルアップの機会を提供することで、タンバイが自立し、安定した生活を送るための支援が重要です。
まとめ
タンバイという現象は、フィリピンの経済的・社会的問題の一端を象徴しています。
彼らの存在は単なる「怠惰」や「犯罪の温床」と見なされがちですが、背後には深刻な貧困や社会的排除の問題が潜んでいます。
フィリピン政府や地域コミュニティが一体となって、雇用創出や教育機会の提供を進めることで、タンバイの数を減少させ、彼らが再び社会の一員として活躍できる環境を整えることが求められています。
タンバイ問題は、フィリピン社会全体の課題として取り組むべき重要なテーマです。

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