「中学校で習った英語さえ自由に使えれば日常英会話をマスターすることは可能」といったような記事をよく目にする事がありますが、これって本当なのでしょうか?
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小・中・高の英語教育は大きく変わろうとしています
「中学英語=中学校までに習った英語」というものを考える前に、小・中・高の英語教育が大きく変わろうとしている事をご存知でしょうか?
文部科学省によると、新しい学習指導要領が以下のタイミングでスタートするそうです。
小学校:2020年度~
中学校:2021年度~
高等学校:2022年度~
新しい学習指導要領の改訂スケジュールについても、以下のように公表されています。
出典:文部科学省ホームページ 新学習指導要領について 資料4
また、「外国語教育の抜本的強化」として以下のものも示されています。
出典:文部科学省ホームページ 新学習指導要領について 資料4
上のイメージ図の中にある中学校で習う単語数を見てみると、現状の「1200語程度」から「1600~1800語程度」と強化されています。
なので、「中学校で習った英語」という事を考える際、数十年前に中学校で習っていた英語のレベルと今後の英語のレベルとでは大きく異なるという事を念頭に置いた上で考える必要があります。
但し、「~〇〇年までに中学校で習った英語の場合」といったような切り分けは難しいので、文部科学省が公表している教科書目録中に記載されているものの中から「NEW HORIZON English Course 3(中学3年用)」の内容について検討してみたいと思います。
実際の教科書の内容について
以下が「NEW HORIZON English Course 3(中学3年用)」の表紙です。
教科書の中身を見て驚きました! 数十年前の中学校の英語の教科書とは全く異なります!
まず、教科書の本編は、Unit、Daily Scene、Presentationの3部構成となっており、それぞれ以下の内容で学習するようです。
【Unit】4技能の活動を通して、英語の基本的な文を学ぶ
【Daily Scene】日常のいろんな場面におけるコミュニケーションの仕方を学ぶ
【Presentation】UnitとDaily Sceneで学んだことを活用し、自己表現活動を行う
【Daily Scene】の中から一つ具体的な例を挙げると、
「Daily Scene 5 電話の会話」では、
May I speak to Meg, please?
Can I leave a message?
Could you tell her to call me back?
などの、日常生活の中でそのまま使えるような表現を、生徒同士ペアになって電話での対話練習を行うといった非常に実践的なものとなっています。
他にも「道案内(電車の乗り換え)」や「食事の際の会話」など日常生活の中で使われる会話が中心となっているようです。
なおテキストの後の方に【Word List】として1~3年生の教科書本文で出てきたものが掲載されていましたので、その数をザっと数えてみたら1500語以上はあるようです。
ここまで見てきた時点で、「中学英語で日常英会話を習得するのは可能か?」に対する答えは既に出ていると言っても良いようです!
単語やフレーズを覚えているだけでは会話は出来ない!
「中学英語で日常英会話を習得するのは可能か?」に対する結論としては、一般的な日常英会話であればほぼ 「可能」 という事になると思います。
但し、「中学校で習った単語やフレーズなどを覚えていれば」 ということではなく、「習った単語やフレーズ、センテンスを自由に使えれば」 という条件付きです。
単語の意味を覚えているだけでは会話をする事は不可能です。
その単語を使ってネイティブの人が話をしたときに理解ができて、相手に理解される程度の発音で言うことが出来なければ会話としては成立しません。
イディオム(慣用句)の意味を知っているかが重要!
今後中学校で習う単語数は1,700語前後になると思いますが、実際に会話の中でそれらの単語が使用される場合は、単語そのものの意味で使用される場合と、それらの単語を組み合わせたイディオムとして使用される場合があります。
少ない単語数で会話をしようとすると当然のことながら使用するイディオムの数を増やさなければなりません。
つまり、覚えた単語で構成されるイディオムをいかにたくさん知っているか (会話レベルで自由に使えるか) ということも重要な問題となってきます。
しかし、中学で習った単語やフレーズやセンテンス、文法などを100%までとはいかなくても、きちんと理解しある程度まで使えるレベルになっているのであれば、日常英会話をほぼ習得出来ていると考えても問題ないと言えるのではないでしょうか。