フィリピンの肌差別「カラーリズム」についてご紹介

 

フィリピンでは、肌の色に対するこだわりが非常に強く、今や社会や文化などに深く根付いています!

これは「カラリズム」と呼ばれる現象で、肌の色が「社会的地位」や「美しさの基準」として大きく扱われることを指します。

フィリピンにおけるカラリズムは、歴史的背景や現代のメディアの影響により、さまざまな形で現れています。

そこでこの記事では、フィリピンの肌差別「カラーリズム」についてご紹介します。

 

カラリズムの歴史的背景

フィリピンのカラリズムの起源は、今から400年前の「スペイン統治時代」にまでさかのぼります。

スペインの植民地支配下で、肌の色が階級の象徴となりました。スペイン人や白人との混血である「メスティーソ」は、社会の上層に位置し、肌の色が白いことが高貴さや富の象徴とされました。

 

一方、先住民のフィリピン人は肌が比較的茶色くかったせいで、下層階級に位置づけられました。

この階級制度は、肌の色による差別を助長し、数百年経った現代に至るまで、その影響を残しています。

 

※補足

フィリピンでは、肌の色が「茶色い」人や「小麦色の肌」の人を「モレナ」と呼びます。

「モレナ」はスペイン語由来の言葉で、『日焼けしたダークブラウン色』を意味します。

 

現代のカラリズムとメディアの影響

先ほどの説明の通り、現代のフィリピンでは「色白=美」という価値観が広く浸透しており、特にメディアや広告は、白い肌を美の基準として強調する傾向があります。

テレビや雑誌、映画などで見られるフィリピンの有名人やモデルは、とても肌が白く、これが理想的な美しさとして広く認識されています。

この影響により、多くのフィリピン人が美白製品を使用し、肌を白くすることに執着するようになりました。

 

※補足

例えば、「DREAM WHITE」(夢のような白さ)という名前の商品が、肌を白くする作用があるとされ、注目を集めています。

 

肌の白い人と黒い人に対する認識

フィリピン社会では、肌の白い人は「美しい」、「上品」、「成功している」と見なされることが多いです。

 

特に女性においては、白い肌が「美しさの象徴」とされ、結婚や就職などで有利になることもあるそうです。

一方で、肌の黒い人は「貧しい」、「労働者階級」、「田舎出身」と見なされることが多いです。

これにより、肌が黒い人々は「差別」や「偏見」を経験しやすく、社会的な機会や経済的な成功において不利になることが少なくありません。

 

このような差別が、自己評価やメンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性があるとされフィリピン国内で問題視されています。

 

カラリズムの克服と未来への希望

近年、フィリピンでもカラリズムに対する意識が高まりつつあります。

多様な美しさを認める運動や、肌の色に関わらず全ての人々が平等に扱われるべきだという考えが広がっています。

ソーシャルメディアや若い世代の影響力もあり、「黒い肌」を持つモデルや芸能人が活躍する機会が増えてきました。

 

また、教育や啓発活動を通じて、カラリズムの問題について話し合い、偏見をなくす努力が続けられています。

これにより、将来的には肌の色に関係なく、全てのフィリピン人が平等な機会を享受できる社会の実現が期待されています。

 

まとめ

フィリピンにおけるカラリズムは、歴史的背景と現代のメディアの影響によって形成された根深い問題です。

肌の色が社会的地位や美の基準として扱われる現状は、個人の自己評価や社会的な機会に大きな影響を及ぼしています。

 

しかし、近年の意識の高まりと啓発活動を通じて、カラリズムの克服に向けた動きが進んでいます。

フィリピンが多様な美しさを認め、全ての人々が平等に扱われる社会へと変わることが期待されます。

 

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