みなさんは「世界一渋滞する都市」と聞いてどこを思い浮かべますか?
人口の多いデリーや北京あるいは、大都市であるロンドンやニューヨークなどを真っ先に思い浮かべるでしょうか?
2023年の「TomTom交通指数レポート」によると世界 387 か所の「大都市圏」の中で最も交通渋滞が激しいと認定されているのは、フィリピンの「マニラ首都圏」でした。
そこで今回は、予想を裏切る形で「移動時間が世界で最も遅い都市」としてNO.1になったマニラの「交通状況」についてご紹介いたします。
マニラ首都圏の交通渋滞の「実態」
ここでは「デジタルナビゲーションサイト TomTom」のデータをもとにご紹介!
TomTom Traffic Index 2023(6大陸55 か国の387都市を対象)
交通渋滞ワーストランキング
・1位 マニラ首都圏(フィリピン)
・2位 リマ(ペルー)
・3位 バンガロール(インド)
・4位 札幌市(日本)
交通渋滞ワーストランキングでは、マニラ首都圏が10キロメートルの道路ごとに25分30秒の移動時間でワースト1位になったことを明らかにしました。
また、昨年2022年のデータと比べて移動時間が「50秒」も増加しています。マニラ首都圏開発庁 (MMDA) はこの問題に対して、首都圏の道路渋滞は「10年前から続いている」とも発表しています。
※補足
マニラ首都圏の道路混雑レベル(ピーク時の余分な移動時間を測定するもの)は「1.5」で、ベンチマークとなる278都市の平均である「1.24」を大幅に上回っています。
混雑レベル「1.5」は、ピーク時間帯の移動時間がオフピーク時間帯と比較して約50%長いことを意味します。
経済に与える損失は
国際協力機構(JICA)の調査によると、交通渋滞が経済に与える損失は、マニラ首都圏で1日あたり少なくとも35億ペソ(約93億円)、年間では1兆2700億ペソ(約3.4兆円)と推定されています。
マニラ首都圏の交通渋滞の「要因」
ここでは交通渋滞の要因として問題視されている2つの課題をご紹介!
①自動車需要の大幅な増加
低金利・融資への容易なアクセスによって2023年フィリピン国内自動車販売台数は パンデミック前の水準を上回り、「44万1,408台」に達しています。
2022 年と比較しても、年間予測の 「423,000台」を18.93%上回っており、自動車は今後も飛躍的に増加すると推測されているため、交通インフラ整備の問題がより一層深刻化すると言われています。
②首都圏への人口流入
マニラ首都圏はフィリピンの商業と教育の中心地として知られており、何百万人もの人々が仕事や教育の機会を求めて集まります。
また多国籍企業や確立された機関がフィリピンの首都圏に根付いているため、地方の人々は経済の中心地マニラに移住し、仕事を確保することを選択しています。
現在マニラ首都圏の人口は、推定「1,470万人」とされており、25年以内に「2,350 万人」に増大すると予測されています。
このような人口爆発が交通インフラにどのような問題を引き起こすか、想像するのは難しくありません。
※補足
近年では、配達や輸送のために路上でより多くの車両を走行させるAngkas、MoveIt、Lalamove、Transportifyなどの「スマート物流・配送アプリ」の市場が成長していることも交通渋滞の要因とされています。
まとめ
以上が世界一の渋滞都市、首都マニラの交通状況についてご紹介となります。
マニラ首都圏は現在、1,270万台の自動車登録台数に上り、フィリピン国内の約24.2%を占める割合になっています。
今後ますます深刻化する「マニラ首都圏の交通上の課題への取り組み」に注目です。
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