以前私が4年間ほど駐在生活をした経験のあるヨーロッパのベルギーでの英語事情について詳しくご紹介したいと思います。
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ベルギーは一つの国の中に複数の言語が存在する?
出典:https://www.travel-zentech.jp/
ベルギーでは北部がオランダ語、南部がフランス語、北東部の一部でドイツ語が話されており、英語は母国語ではないにもかかわらず、高校卒業レベルの人であれば、みんな流暢な英語を話します。
ベルギーの友人に話を聞いてみると、ベルギー人であっても全ての人がオランダ語、フランス語、ドイツ語の全てを話せるわけではなく、英語も一つの共通語という位置づけになっているという事でした。
このことが、英語を習得する上での一番大きな要因になっているのではないでしょうか?
ベルギー人なら誰にでも英語が通じるのか?
以前、私がベルギー工場の立ち上げ業務に携わっていた頃、研修の目的で多くのベルギー人スタッフに日本へ来てもらっていましたが、その時来日していたベルギー人は、全ての人が問題なく英語を話していました。
その当時来日していたベルギー人の話していた英語が、どの程度のレベルのものかについては、正確に判断する事は出来ませんが、日本に在住していたアメリカ人スタッフと普通に話していました。
一度アメリカ人スタッフに聞いた事があったのですが、「彼ら(ベルギー人)の英語は全く問題無い」と言っていた記憶があります。
という事で、その当時はベルギー人は全て英語が話せるものだと思っていました。
ところがベルギーへ住み始めた頃、近くのお店やさんに買い物へ行った時の事です。
"Excuse me"、"Thank you"、"I want to buy 5 eggs." のような簡単な英語が全く通じなかったのです!
他のページでも書いていますが、ベルギーでは13歳から英語教育がスタートし、1~2年後には日常会話では困らない程度の英語力が身に付くそうです。
なので、日本の高校程度の学校を卒業している人であれば、かなりの英語力が身に付いているとの事でした。
実際、私が常駐していたベルギーの工場で働いていた現地の高卒作業者とちょくちょく話をしていましたが、日本人からすれば、ほとんど欧米人のネイティブと同等の流暢さであると感じていました。
但し、同じベルギー人であっても、片田舎に住むおじいちゃん、おばあちゃんなどの中には英語を全く話せないような人もある程度いるようです。
また、南部のワロン地域に住んでいる人たちはフランス語のみで、オランダ語や英語を話す人は非常に少ないと聞いていましたが、私の感覚としては南部地域であっても普通に英語が通じていたと思います。
ベルギー人が話す英語の発音は?
前述の通り、私はベルギー工場の立ち上げ業務の一環として、ベルギーへ渡る前から日本に研修に来ていた多くのベルギー人スタッフと英語で話をしていたせいもあると思いますが、ベルギー人の話す英語はとても綺麗な発音だと感じていました。
その一つの理由として、彼らが私たち日本人スタッフの英語のレベルを理解した上で、はっきりとした発音でゆっくりと話してくれていたという事もあると思いますが・・・。
その後ベルギーに駐在していた頃の話ですが、ある時、イギリス支店に勤務していたイギリスの方と直接話す機会がありました。
イギリス人の話す英語といえば、当然、日本でも販売されている英語教材のCDから流れてくる私たち日本人が最も聞きなれている英語の発音だと信じていました。
ところが、初めてそのイギリス人スタッフと話した時、その人の話す英語が全くと言っていいほど聞き取れなかったのです。
なのでその時は、その人は純粋なイギリス人ではなく、他の国からイギリスへ移住してきた人なのかなと思ったりもしましたが、後でベルギー人スタッフに聞くてみると、生まれも育ちもイギリスだという事でした。
後で知った事ですが、日本で売られている英語教材の多くはアメリカ英語で、私が普段勉強のために聞いていたのはアメリカ英語だったのです。
更に、アメリカ英語とイギリス英語の発音がそれほど違うという事も、恥ずかしながらその当時初めて知ったのでした。
従って、私たち日本人にとっては、生粋のイギリス人が話す英語より、ベルギー人(ドイツ人やフランス人も同様)が話す英語の方がきれいな発音というか、非常に聞き取りやすい発音だと感じました。
以下の動画はベルギーの一般市民へのインタビューの様子ですので聞いてみて下さい。
ベルギーは英語習得のための留学先としてはどうか?
私がベルギーに常駐していた1990年前後の頃は、ベルギーの治安については、日本の東京や大阪などの大都会よりかなり安全だと言われていました。
実際ベルギーに住んでいた頃、真夜中に若い女性が一人で街中を歩く姿を何度も目撃しています。
但し、ベルギーの緯度は北海道よりもっと北に位置していますので、夏場は午後11時頃まで明るかった記憶があります。
また、ベルギーへ入国する際にいつも驚かされていたことがありました。
それは入国審査の際、中国人がパスポートを担当官に差し出したところ、かなり長時間に渡っていろいろ質問されていたのを見て、私自身初めてベルギーへ入国した時は、何を聞かれるんだろうとドキドキしながら待っていたことを思い出します。
その中国人がやっと終わり、いよいよ私の番が来ました!
恐る恐るパスポートを差し出すと、その入国審査官の人は私を見てにこっとし、何と日本語で「こんにちは、ようこそベルギーへ」と言い、質問を何もしないままパスポートへ入国のスタンプを押してくれたのです!
後でベルギーのスタッフへその事を言うと、ベルギーの王室と日本の天皇家との関係が昔から良好なため、以前から日本人に対しては、とても良い応対をしているようだという事でした。
やはり外国へ行く際は、その国の歴史や日本との関係などについて少しは勉強しておくべきですね。
英語が全く喋れない私の妻も、移住しても構わないくらいベルギーはとても暮らしやすい国だと言っていたくらいでした。
ところが、2015年にフランス・パリで発生した同時多発テロの犯人達がベルギーに潜伏していたといった情報が流れた頃から、ベルギーへの見方を大きく変えた人も多いのではないでしょうか?
以前は、友人から「子供の留学先としてベルギーを考えているが?」といった相談を受けた時は、迷わず「日本の都会に一人で行かせるよりよっぽど安全だし、綺麗な英語を身に付けられると思うよ!」と胸を張って言えていたのですが、最近では旅行先としてベルギーを敬遠する人も少なからずいるようです。
【追記.ベルギー人の友人に最近の治安などについて聞いてみました】
以下は、最近のベルギーの治安状況に関してベルギー人の友人へ確認した際の彼からの返事を要約したものです。(2018年3月30日現在)
--------ここから--------
ベルギーのセキュリティに関する今日までの流れと現在の状況についてお知らせします。
2015年11月13日のパリでのテロは、ブリュッセルの19の市町村の1つに拠点を置く人間によって引き起こされました。
警察はパリ襲撃犯の生き残りを追跡していましたが、この事が2016年3月15日のブリュッセルでの銃撃戦に繋がりました。
更に、2016年3月22日にはブリュッセルの空港や地下鉄でのテロへと続いていきました。
ベルギー政府は、テロ発生後に都市の安全保障のため、軍の活性化及び強化を行いました。
ベルギー兵士は、地下鉄や鉄道の駅、空港などの安全を確保するため、ブリュッセル、アントワープなどの大都市でパトロールを継続しています。
2018年1月からは、テロ攻撃の緊急レベルがレベル4からレベル2に引き下ろされました。(レベル4が最高レベル)
2016年3月15日に発生したブリュッセルでの銃撃戦に対する訴訟が、2018年2月にベルギーで開始されました。
ベルギーでは、軍隊が都市を巡回するということは、非常に珍しいことです。
しかし、兵士の数は徐々に減少していますが、ブリュッセルやアントワープなどでは、今もパトロールが続いています。
なので、アントワープはより安全と思えるかもしれませんが、あなたも知っての通り、アントワープからブリュッセル間は、わずか60kmしかありません。
なお、2016年3月15日のブリュッセルでの銃撃戦以降、ベルギーを訪れる観光客の数は激減しましたが、現状はその当時と比較してベルギーを訪れる日本人の数は約34%程度増えています。
--------ここまで--------
上記のように、ブリュッセルやアントワープなどの大都市では、今も軍隊によるパトロールが続いているようですが、100%安全になったという事でもなさそうなので、観光などでベルギーへ訪れる方は十分注意して頂きたいと思います!
*ベルギーの治安状況については今後も定期的にこのサイト内でご紹介していく予定です!
→ ベルギーにおける最近(2019年1月時点)の治安状況について
→ ベルギーにおける最近(2020年1月時点)の治安状況について
ベルギーの首都ブリュッセルでは英語が通じるの?
ベルギーの中でも日本人が一番訪れるところと言えば首都の「ブリュッセル」ではないでしょうか?
英語式に発音すると、「ブラッソーズ」といった感じでしょうか。
ヨーロッパ旅行などでベルギーへ行かれたことのある方は、ブリュッセルではフランス語が話されるという事をご存知の方も多いと思います。
確かにブリュッセルでお店屋さんに入ると、最初は必ずフランス語で話しかけてくる場合が多いようです。
でも大丈夫です!
"In English, please."などと言えば、すぐに英語で話してくれます。
ブリュッセルでお店をやっている人であれば、上手い下手は別としてほぼ100%英語を話せます。
香港のように、日本人とみれば日本語で話しかけてくるという事はさすがにありませんが、ベルギーの人はみんな日本人に親切にしてくれますので、片言の英語でも優しく接してくれますので、安心して買い物などが出来るでしょう。
無理してフランス語を使う必要は全くありませんので、ご安心ください!
ベルギーにおける共通語としての英語の位置付け!
ベルギー人の多くが英語を話せる要因としては、国自体が多言語国家だという事以外には以下のような多くの事が考えられます。
a)英語の語順がベルギーの公用語と同じである
b)英語を教える先生がネイティブスピーカーとほぼ同レベルの英語の発音が出来る
c)字幕なしの英語放送のみのテレビ番組がいつでも見れる
しかし一番の要因としては、ベルギー国内で生活していく上でも英語を話す必要性が少なからずある(共通語としての位置づけ)という事ではないかと思います。
ある時こんな事がありました。
ベルギーの友人宅へ遊びに言ったときの事ですが、彼の親戚で5歳くらいの男の子だったと思いますが、しきりに「ガッチャ、ガッチャ」という言葉を発していたのです。
友人に、「あの子は何と言ってるの?」とたずねると、
その男の子が大好きで毎回見ているアメリカのテレビ番組の中で、「ガッチャ」という言葉が使われているようなのですが、よくよく聞いてみると、「I got it.」という言葉を縮めて「Got it.」と言っているのが「ガッチャ」という発音に聞こえるようです。
このようにベルギー(ヨーロッパの他の国でも同じかもしれませんが)では、小さい頃から生の英語に接する機会が多く、また普段の生活の中でも英語を話す人が大勢いるという事も、英語を流暢に話せるようになる大きな要因の一つであると思いました。